先日のポートレイト撮影からの一枚。
カメラを手にとって、写真家を名乗り出してしばらく経つけど、
正直まだ写真というものが何なのかよく分かっていない。
それはその人を映す媒体に変わりないのだけれど、
撮り手によってその人の見え方は変わってくる。
善人にもなるし、悪人にもなる。
今回の撮影は、
半世紀誕生日を迎えたクライアントのポートレイトを撮影するというものだった。
その集大成となる写真を撮りたい、というのがクライアントの希望だったのだが、
まだ27年しか生きていない僕に理解できることは限られていて、
僕はどことなくプレッシャーに感じていた。
笑ってもらえばいいのか、寡黙にレンズの見つめてもらえばいいのか、
そんなアングルがその人の半世紀の喜びや苦悩を表す事ができるのか。
色々考えた結果、やはり分からなかった。
むしろ考えた結果、カメラを撮り始めてから続けている原点に戻った。
レンズを通して被写体を愛する事。
心の底からこの人を綺麗に撮りたい、そう考えて撮る事。
もちろん技術的に押さえておくべき「撮影方法」はあるけど。
ポートレイトの正しい「撮り方」なんてないのかもしれない。
いつかはプラトンの写真のようにどれを見ても僕の作品と分かるような写真を撮りたいと思うけど、
今の僕に確かな「撮り方」は、その原点なんだと改て認識した。
自分で作り上げた中途半端なフィルターに通す事無く、
真摯なレンズをクライアントに向ける。
僕は今日も、そしてこれからも、
被写体を愛してレンズを覗ければいいなと思った。
そんな撮影でした。